無策で突撃する上司に教える『孫子の兵法』

インテリ皮肉度
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あるある!こんなシチュエーション

「とりあえずやってみよう」「走りながら考える」準備も戦略もなく突撃させる上司。失敗したら「なぜ準備しなかった」と部下のせい。孫子が聞いたら呆れますよ?

実践!こう使え!

無計画な行動を見たら「戦わずして勝つのが最上、って孫子が言ってましたよね」と独り言ち。聞こえたらラッキー。

詳しく解説!雑学のコーナー

孫子(紀元前535年頃〜?)は、中国春秋時代の兵法家で、世界最古の体系的な軍事戦略書『孫子兵法』の著者です。本名は孫武、呉の国で将軍として活躍し、その戦略思想は2500年後の現代でも、ビジネス戦略の教科書として読み継がれています。 最も有名な言葉「彼を知り己を知れば百戦殆からず」は、情報収集と自己分析の重要性を説いています。孫子は戦争を「国家の大事」と位置づけ、感情や勢いで始めることを強く戒めました。「兵は詭道なり」として、正面からの力押しではなく、知略による勝利を重視。実際、孫武が呉の将軍として指揮した戦いでは、3万の兵で20万の楚軍を破ったと記録されています。 「戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」という思想は、現代のM&A戦略やプラットフォーム戦略に通じます。アリババのジャック・マーは孫子の愛読者として知られ、「競争相手と戦うのではなく、競争そのものを無効化する」戦略で成功しました。アマゾンのベゾスも、物流インフラへの先行投資により「戦わずして勝つ」状況を作り出しています。 孫子は「算多きは勝ち、算少なきは勝たず」と述べ、事前の計画と計算の重要性を強調しました。戦争を始める前に検討すべき「五事七計」(道・天・地・将・法の5要素と、7つの比較基準)は、現代のSWOT分析やポーターの5フォース分析の原型とも言えます。特に「道」(大義名分、ビジョン)を最重要視し、これなくして人は動かないと説きました。 興味深いことに、孫子は「勝兵は先ず勝ちて而る後に戦い、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む」と述べています。つまり、優れた指揮官は戦う前に既に勝利を確定させており、負ける指揮官は戦ってから勝つ方法を探すというのです。現代のビジネスでも、成功企業は市場参入前に競争優位性を確立しています。 日本では、武田信玄が「風林火山」として孫子の教えを旗印にしました。現代では、ソフトバンクの孫正義が「孫の二乗の兵法」として独自解釈を展開。トヨタ生産方式の「現地現物」も、孫子の「地の利を知る」思想の実践と言えます。 孫子は撤退の重要性も説いています。「善く戦う者は、不敗の地に立ちて、敵の敗を失わず」。無謀な戦いは避け、勝てる戦いだけを選ぶ。これは現代の「選択と集中」戦略の原点です。インテルがメモリ事業から撤退しCPUに集中したのも、孫子的な戦略判断でした。 最新の軍事研究でも、孫子の原則は有効性を保っています。湾岸戦争での「ショック・アンド・オー」戦略、サイバー戦争での情報優位の重視など、2500年前の知恵が最先端の戦略に活きているのです。

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