流行に飛びつく上司と『バンドワゴン効果』

インテリ皮肉度
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あるある!こんなシチュエーション

「他社もやってるから」「業界標準だから」理由も分からず流行りの手法を導入したがる上司。DXって言いたいだけでしょ?自社に必要かどうか、考えたことあります?

実践!こう使え!

「みんなやってるから」と言われたら「バンドワゴンに乗るんですね。選挙とかでよくあるやつ」と、あくまで一般論として。

詳しく解説!雑学のコーナー

バンドワゴン効果(Bandwagon Effect)は、多数の人が支持しているという理由だけで、その選択を支持する心理現象です。楽隊車(バンドワゴン)の後ろに群衆がついていく様子から名付けられました。1950年代に社会心理学者が体系的に研究を始め、現在では行動経済学の重要概念となっています。 アッシュの同調実験(1951年)が決定的でした。明らかに長さの違う線を見せ、どれが同じ長さか答えさせる単純な実験。しかし、サクラ7人が間違った答えを言うと、被験者の37%が明らかに間違った答えに同調しました。「みんなが言うなら」という理由だけで、自分の感覚さえ疑ってしまうのです。 ビジネス界での「バズワード現象」は典型例です。ビッグデータ、AI、DX、メタバース、Web3...これらの言葉が流行ると、実際の必要性を検討せずに導入する企業が続出します。ガートナーの調査では、DXプロジェクトの87%が期待した成果を出せていません。「他社もやっている」という理由だけで始めたプロジェクトの失敗率は特に高いのです。 日本の経営における「横並び意識」は、バンドワゴン効果の極端な例です。1980年代の多角化ブーム、1990年代のIT投資ブーム、2000年代の中国進出ブーム...いずれも「乗り遅れるな」という心理で突き進み、多くが失敗しました。ある研究では、日本企業の新規事業の62%が「競合他社の動向」を最重要判断基準にしていることが判明しています。 金融市場でも深刻です。「○○銘柄が人気」という情報だけで買いが殺到し、バブルが形成されます。1637年のチューリップ・バブル、2000年のドットコム・バブル、2017年の仮想通貨バブル...すべてバンドワゴン効果が増幅した結果です。「みんなが買っているから」という理由で投資した人の90%以上が損失を出しています。 SNS時代には、バンドワゴン効果が加速しています。「いいね」の数、フォロワー数、再生回数...これらの数字が新たなバンドワゴンとなり、内容の質とは無関係に支持が集まります。企業のマーケティングでも、「売上No.1」「○○万人が使用」といったコピーは、バンドワゴン効果を意図的に利用したものです。 防御策として「悪魔の代弁者」制度が有効です。あえて反対意見を述べる役割を設定することで、集団思考を防げます。また、「レッドチーム」として、あえて失敗シナリオを検討するチームを作ることも効果的。アマゾンの「Working Backwards」プロセスでは、新規事業を始める前に「失敗のプレスリリース」を書くことで、バンドワゴンに乗る前に立ち止まって考える仕組みを作っています。

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