細かいことまで口出しする上司へ、ナポレオンからの教訓

インテリ皮肉度
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あるある!こんなシチュエーション

「その資料のフォントが気に入らない」「会議室の椅子の配置はこうして」将軍が兵士の靴紐まで結ぶような上司。それ、あなたの仕事ですか?

実践!こう使え!

マイクロマネジメントに悩まされたら「ナポレオンでさえ『命令は大まかに、実行は細部まで』と言いました。権限委譲した方が成果が出るのでは?」と提案。

詳しく解説!雑学のコーナー

ナポレオン・ボナパルト(1769-1821)は、フランス革命期の軍人にして皇帝、そして史上最高の戦術家の一人です。「余の辞書に不可能という文字はない」で知られる彼ですが、実は優れた組織管理者でもありました。彼の成功と失敗は、現代のマネジメントに多くの教訓を与えています。 ナポレオンの委任の哲学は明確でした。「命令は大まかに、実行は細部まで」。彼は元帥たちに目標と方針を示し、具体的な実行は現場に任せました。アウステルリッツの戦い(1805年)では、各軍団長に「敵を引きつけろ」という大まかな指示だけを出し、具体的な戦術は任せることで、柔軟な対応を可能にし、完璧な勝利を収めました。 興味深いのは、ナポレオンの「元帥杖は兵士のリュックの中にある」という言葉です。彼は能力主義を徹底し、出自に関係なく優秀な人材を登用しました。元帥26人のうち、貴族出身は4人だけ。ミュラは宿屋の息子、ネイは樽職人の息子でした。この実力主義が、革命軍を欧州最強の軍隊に変えたのです。 ナポレオンは情報の可視化にも長けていました。有名な「ナポレオンの地図」は、地形だけでなく、各地の人口、産業、道路状況まで記載された総合情報図でした。現代のビジネス・インテリジェンス・ツールの原型とも言えます。また、「状況報告は1ページ以内」という規則を設け、情報の簡潔性を重視しました。 しかし、ナポレオンの失敗も教訓に満ちています。晩年、彼は細部への介入を強め始めました。ロシア遠征では、モスクワからパリの劇場の演目まで指示を出していました。この過度な中央集権化が、柔軟性を失わせ、帝国崩壊の一因となりました。「権力は腐敗する」というアクトン卿の言葉を体現してしまったのです。 組織文化の面でも革新的でした。「兵士諸君、ピラミッドの頂から4000年の歴史が諸君を見下ろしている」という演説に代表される、ビジョンとストーリーテリングの力を理解していました。また、レジオン・ドヌール勲章を創設し、金銭以外のインセンティブの重要性を示しました。 現代経営への影響は計り知れません。ピーター・ドラッカーは、ナポレオンを「最初の近代的経営者」と評価。GEのジャック・ウェルチは、ナポレオンの「スピードが全て」という哲学を実践し、意思決定の高速化を進めました。トヨタの「現地現物」も、ナポレオンの「将軍は前線を見よ」という教えに通じます。 最新の軍事研究では、ナポレオンの「集中の原則」が再評価されています。彼は常に「決定的地点に最大戦力を集中」させました。現代のビジネスでいう「選択と集中」の原型です。アップルがスマートフォンに集中し、ノキアを破ったのも、このナポレオン的戦略の実践例と言えるでしょう。 ナポレオンは言いました。「細部に神は宿る。しかし、悪魔もまた宿る」。重要なのは、リーダーがどの細部に関わるべきかを見極めることなのです。

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