責任を取らない上司が患う『ピーターパン症候群』

インテリ皮肉度
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あるある!こんなシチュエーション

「俺はまだ若いから」50代なのに新人気分。失敗は部下のせい、面倒な仕事は押し付け、でも手柄は独り占め。永遠の子供でいたいんですね。

実践!こう使え!

責任転嫁が始まったら「ピーターパン症候群って知ってます?大人になれない大人の話」と同僚との雑談で。誰の耳に入るかな。

詳しく解説!雑学のコーナー

ピーターパン症候群(Peter Pan Syndrome)は、1983年に心理学者ダン・カイリー(Dan Kiley)が提唱した概念です。大人になっても精神的に成熟せず、責任を回避し続ける人々の心理状態を、永遠に大人にならない物語の主人公になぞらえて名付けました。 カイリーの研究は衝撃的でした。調査対象の成人男性の23%が、この症候群の特徴を示していました。特徴は明確です。責任回避、感情の未熟さ、依存性、自己中心性、そして現実逃避。40代、50代になっても「自分探し」を続け、安定を拒否する人々が増加していたのです。 興味深いことに、これは現代社会特有の現象です。産業革命以前は、15歳で大人として扱われました。しかし、教育期間の延長、晩婚化、寿命の延長により、「大人になる」ことが曖昧になりました。日本では「大人になりたくない」と答える20代が42%に達するという調査結果もあります。 職場での影響は深刻です。ハーバードビジネスレビューの調査では、ピーターパン症候群の管理職の下では、部下の離職率が通常の2.7倍になることが判明しました。責任を取らない上司に、部下は愛想を尽かすのです。特にミレニアル世代は、こうした上司を「有害」と判断する傾向が強いことも分かっています。 経済的コストも膨大です。アメリカの調査では、責任回避型マネージャーによる損失は年間3600億ドルと推計されています。プロジェクトの失敗、訴訟リスク、人材流出、すべてが「大人になれない大人」に起因しているのです。 文化的背景も無視できません。日本の「カワイイ文化」や「ゆるキャラ」ブームは、大人の幼児退行願望の表れという分析もあります。心理学者の河合隼雄は、日本人の「永遠の少年」願望を「母性社会の影」と表現しました。甘えの構造が、ピーターパン症候群を助長するのです。 神経科学的には、前頭前皮質の発達遅延が関係しています。fMRI研究では、ピーターパン症候群の人は、意思決定時に感情を司る大脳辺縁系が過剰に活性化し、理性的判断を司る前頭前皮質の活動が低下することが判明しました。文字通り、脳が「子供のまま」なのです。 治療は困難です。本人に自覚がないことが多く、「自分は自由を愛する人間だ」と正当化します。認知行動療法が有効とされますが、治療を受けること自体が「大人としての責任」であるため、パラドックスに陥ります。組織としては、明確な責任体系と評価制度の確立が重要です。

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