同じ会議にいたはずなのに話が違う上司と『羅生門効果』

インテリ皮肉度
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あるある!こんなシチュエーション

「昨日の会議で決まったよね?」「いや、検討するって話でしたよね?」同じ場にいたのに、なぜかみんな違う認識。誰の記憶が正しいの?

実践!こう使え!

議事録の食い違いが発覚したら「まるで羅生門みたいですね」と映画の話題に。黒澤明の名作を知らない人には通じないけど、それもまた一興。

詳しく解説!雑学のコーナー

羅生門効果(Rashomon Effect)は、黒澤明監督の1950年の映画『羅生門』に由来する心理学・社会学的概念です。同じ出来事を目撃した複数の人物が、それぞれ異なる、時には矛盾する証言をする現象を指します。 映画『羅生門』では、平安時代の日本を舞台に、ある殺人事件について盗賊、侍の妻、死んだ侍(霊媒を通じて)、そして木こりの4人がそれぞれ全く異なる証言をします。各人の証言は自分に都合よく歪められており、真実は最後まで明らかになりません。この映画は1951年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、日本映画を世界に知らしめる記念碑的作品となりました。 心理学者のロバート・アンダーソンは、この現象を「主観的真実の多様性」と説明しています。人間の記憶は録画装置ではなく、個人の価値観、感情、利害関係によって再構成されるため、同じ出来事でも人によって異なる「真実」が生まれるのです。 法廷心理学の研究では、目撃証言の信頼性について驚くべきデータが示されています。イノセンス・プロジェクトの調査によると、DNA鑑定で無実が証明された冤罪事件の約70%で、誤った目撃証言が有罪判決の主要因となっていました。 組織心理学の文脈では、この効果は「選択的記憶」や「確証バイアス」と密接に関連しています。例えば、プロジェクトの失敗について振り返る会議では、各部門が自分たちの責任を最小化し、他部門の問題を強調する傾向があります。MIT スローン経営大学院の研究では、同じプロジェクトについて管理職と現場スタッフで成功要因の認識が平均60%も異なることが判明しました。 さらに興味深いのは、時間の経過とともにこの効果が強まることです。心理学者エリザベス・ロフタスの実験では、出来事から3ヶ月後には、被験者の記憶の約40%が実際とは異なる内容に変化していることが示されました。

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