理解不能な指示を出す上司と『エヴァンゲリオン症候群』

インテリ皮肉度
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あるある!こんなシチュエーション

「君には期待している」と言いながら具体的指示はゼロ。深い意味がありそうで実は何もない。この思わせぶりな態度、まるであの伝説的アニメの監督のよう。

実践!こう使え!

意味不明な指示を受けて「エヴァンゲリオン症候群ですか」と心の中でつぶやく。「全部、計画通りなんですよね?」と皮肉を込めて確認。

詳しく解説!雑学のコーナー

エヴァンゲリオン症候群(Evangelion Syndrome)は、1995年のアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の演出手法から着想を得た、筆者による創作概念です。意図的に曖昧で難解な指示や説明をすることで、受け手に「深い意味があるはずだ」と過剰に解釈させる現象を指します。碇ゲンドウの「すべては計画通りだ」という台詞に象徴される、実体のない権威主義です。 エヴァンゲリオンは、制作費不足と納期逼迫から生まれた苦肉の策でした。庵野秀明監督は、説明不足な展開や意味深な演出で時間を稼ぎました。しかしファンは「すべてに深い意味がある」と解釈し、考察本が100冊以上出版されました。後に庵野監督自身が「深い意味はなかった」と告白しましたが、ファンは「それも演出」と解釈しました。 現代の職場でも同じ現象が蔓延しています。マッキンゼーの調査では、管理職の43%が「戦略的曖昧さ」を意図的に使用していると回答。具体的指示を出さず「君ならわかるはずだ」と丸投げすることで、失敗の責任を回避しながら、成功したら自分の手柄にできるからです。 日本企業の「察する文化」と結びつくと最悪です。NTTデータの研究では、上司の指示が曖昧な部署ほど、部下の残業時間が長くなる傾向がありました。部下は「深い意図」を読み取ろうと過剰に作業し、結果として生産性が37%低下。しかし上司は「自主的に考えて動いている」と高評価するという矛盾が生じています。 IT業界のアジャイル開発でも問題になっています。「顧客価値の最大化」「イノベーションの創出」といった抽象的な目標だけを掲げ、具体的な仕様は示さない。開発者は意図を「考察」しながらコーディングし、手戻りが頻発。ある調査では、曖昧な要求仕様によるプロジェクト失敗率は67%に達しました。 学術界でも「エヴァ化」が進んでいます。難解な専門用語と抽象的な概念を羅列し、「理解できないのは読者の勉強不足」という態度。ある哲学系学会誌に、AIが生成した無意味な論文を投稿したところ、「斬新な視点」として採択されました。意味不明なものほど「深遠」と評価される逆転現象です。 コンサルティング業界は意図的にこの手法を使います。「パラダイムシフトによるトランスフォーメーション」「ホリスティックなシナジー創出」など、具体性のない提案書を作成。クライアントは「さすがプロだ」と感心し、高額な報酬を支払います。元コンサルタントの告白では、「クライアントが理解できない方が価値を感じる」とのことです。 政治の世界も同様です。「新しい資本主義」「Society 5.0」といった曖昧なスローガンを掲げ、具体策は示さない。国民は各自で「深い意味」を解釈し、支持者は「ビジョナリー」と賞賛、批判者は「中身がない」と非難。結果として、何も決まらないまま時間だけが過ぎていきます。 エヴァンゲリオンの最終話「おめでとう」シーンは、予算不足で動画が作れず、止め絵と拍手音だけで構成されました。しかしファンは「実存主義的な表現」と絶賛。同様に、職場の無能な上司の意味不明な指示も、部下が勝手に「戦略的」と解釈してくれる。無能と天才は、結果として区別がつかないのです。 ※注:「エヴァンゲリオン症候群」は実際の学術用語ではなく、職場の問題を風刺するために筆者が創作した概念です。エヴァンゲリオンの演出と職場の曖昧な指示文化の類似性から着想を得ていますが、公式な心理学用語や組織論の概念ではありません。意味を求める人間の性が、意味のないものに意味を与え続けるのです。

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