2割しか働かない職場の『パレートの法則』

インテリ皮肉度
シェア:𝕏finL

あるある!こんなシチュエーション

「なんでいつも同じメンバーばかり忙しいの?」振り返れば、仕事の8割を2割の人間がこなしている。残りの8割は何をしているのか。この偏りには、ちゃんと名前があった。

実践!こう使え!

仕事が偏っているのを見て「パレートの法則、見事に成立してますね」とつぶやく。「2割で8割を回す組織って、持続可能なんですかね」と独り言。

詳しく解説!雑学のコーナー

パレートの法則(Pareto Principle)は、イタリアの経済学者ヴィルフレート・パレートが1896年に発見した「80:20の法則」として知られる経験則です。彼は当初、イタリアの土地の80%を人口の20%が所有していることに気づきました。この偏在性は、驚くほど多くの現象に当てはまることが判明しています。 パレート自身は、庭のエンドウ豆を観察していて、この法則に気づきました。収穫の80%が、全体の20%の鞘から得られたのです。その後、様々な国の富の分布を調査し、同様のパターンを発見。スイスでは人口の20%が富の80%を、イギリスでも同様の比率でした。 ビジネス界では、マイクロソフトが2002年に興味深い発見をしています。Windowsのバグの80%が、コード全体の20%から発生していたのです。同様に、IBMは1963年、コンピューターの処理時間の80%が、命令の20%で占められることを発見。これが後の最適化技術の基礎となりました。 職場における応用も顕著です。ハーバード・ビジネス・レビューの調査では、企業の売上の78%が顧客の22%から生じていました。また、会議時間の82%が議題の18%に費やされ、クレームの75%が製品の25%に集中。数値は厳密に80:20ではありませんが、偏在性は明確です。 人材管理でも同様です。ギャラップ社の2020年調査では、チームの生産性の76%が、メンバーの24%によって生み出されていました。さらに興味深いのは、この「生産的な24%」が退職すると、チーム全体の生産性が平均47%低下することです。 日本企業での実態も深刻です。日本生産性本部の調査では、実際に価値を生み出している業務時間は全体の23%。残りは会議、報告書作成、承認待ちなどの「必要だが非生産的」な活動でした。特に大企業では、この比率がさらに悪化し、生産的時間は18%まで低下します。 パレートの法則は「べき乗則」の一種で、数学的には累積分布関数で表現されます。これは自然現象にも見られ、地震の規模と頻度、都市の人口分布、言語の単語使用頻度など、様々な領域で確認されています。経済物理学では、この普遍性を「臨界現象」として研究しています。 批判もあります。法則を過度に信奉すると、「20%だけに注力すればいい」という短絡的思考に陥りがちです。しかし、どの20%が重要かは常に変動します。Amazon創業者ジェフ・ベゾスは「今日の些細な20%が、明日の重要な20%になる」と警告しています。 面白い派生として「パレートの改善」があります。経済学では、誰かの状況を改善しても、他の誰の状況も悪化させない変更を指します。しかし現実の職場では、2割の優秀層に仕事が集中し、彼らが疲弊する一方、8割が暇を持て余すという、まさに「パレートの改悪」が起きています。

※ ご利用は自己責任でお願いします。当サイトは、あなたの職場での人間関係を一切保証いたしません。

こちらの記事もおすすめ