自分のアイデアだと思わせる上司と『インセプション戦略』
あるある!こんなシチュエーション
「君が前に言ってたアイデアなんだけど」いや、それ先週あなたが却下した私の提案そのままですよね?いつの間に君のアイデアに?
実践!こう使え!
「それ、インセプションみたいですね」と映画の感想として。「夢の中にアイデアを植え付ける話でしたっけ」と続ければ、鋭い人なら気づくはず。
詳しく解説!雑学のコーナー
インセプション戦略は、2010年のクリストファー・ノーラン監督作品『インセプション』から着想を得た概念で、他者の潜在意識にアイデアを植え付け、それがあたかも本人の発想であるかのように思わせる心理技術を指します。 映画では、企業スパイのドム・コブが標的の夢の中に侵入し、深層心理にアイデアを植え付けるという設定でした。映画は夢の階層構造(夢の中の夢)を使って、アイデアがより深く根付くほど、本人はそれを自分の考えだと信じ込むことを描いています。ノーラン監督は、この概念を10年間温めて脚本を完成させたと語っています。 認知心理学では「記憶の帰属エラー」として知られる現象です。ハーバード大学のダニエル・シャクターの研究によると、人は情報の内容は覚えていても、その出所を忘れる傾向があり、他人のアイデアを自分のものと錯覚する確率は約30%に達します。 組織心理学では「アイデア盗用」や「無意識的剽窃」と呼ばれます。ノースウェスタン大学の研究では、ブレインストーミング session の参加者の約40%が、他者のアイデアを後に自分の発案として提示した経験があることが判明。興味深いことに、本人は意図的な盗用の自覚がないケースが大半でした。 社会心理学の「所有効果」も関連します。人は一度でも関与したアイデアに対して、実際の貢献度以上の所有感を持つ傾向があります。スタンフォード大学の実験では、他者のアイデアに小さな修正を加えただけで、被験者の約65%がそれを「共同のアイデア」、25%が「主に自分のアイデア」と認識しました。 ビジネスの世界では「アイデア・ロンダリング」とも呼ばれ、上司が部下のアイデアを吸い上げ、上層部に自分の成果として報告する現象が問題視されています。ギャラップ社の調査では、従業員の約37%が自分のアイデアが上司に横取りされた経験があると回答しています。
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