ブルシット・ジョブ一覧と実例
無意味でクソどうでもいい仕事の5つの分類を徹底解説
この記事は、オフィスJOKEの人気記事『意味のない仕事を作る上司と「ブルシット・ジョブ」』の詳細解説版です。
ブルシット・ジョブとは?
文化人類学者デヴィッド・グレーバーが2013年に提唱した概念。 「被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態」を指します。
重要な区別:ブルシット・ジョブ(無意味だが高給)とシット・ジョブ(重要だが低賃金)は全く異なる概念です。 清掃員や介護士は社会に不可欠ですが低賃金(シット・ジョブ)。一方、無意味な書類作成で高給を得る仕事がブルシット・ジョブです。
データで見るブルシット・ジョブの実態
世界のブルシット・ジョブ統計
自分の仕事が無意味だと感じる労働者の割合
仕事が社会に貢献していないと感じる割合
仕事に意味を見出せない労働者
日本のブルシット・ジョブ実態
「意味がない」と感じる会議の割合
読まれない書類を作成した経験
形だけの仕事が多いと感じる
ブルシット・ジョブ一覧表
| 分類 | 定義 | 具体例(職種) | 推定割合 |
|---|---|---|---|
| 取り巻き Flunkies | 誰かを偉く見せるためだけに存在 | • 役員専属秘書(実務なし) • 受付嬢(訪問者管理システムで代替可能) • ドアマン(自動ドアで十分) • 部長の鞄持ち係 | 5% |
| 脅し屋 Goons | 他者を攻撃・威嚇するための仕事 | • 企業弁護士(訴訟合戦要員) • ロビイスト • テレマーケティング • 過剰な営業部隊 | 10% |
| 尻ぬぐい Duct Tapers | 組織の欠陥を一時的に修正し続ける | • バグ修正専門エンジニア • データ手動移行係 • 顧客クレーム対応専門職 • システム間の伝書鳩役 | 15% |
| 書類穴埋め人 Box Tickers | 組織が活動している「ふり」をする | • パワポ職人 • コンプライアンス文書作成者 • 無意味な日報・週報作成 • ISO監査用書類作成係 | 20% |
| タスクマスター Taskmasters | 無意味な仕事を作り出し、割り振る | • 不要な中間管理職 • プロジェクト乱立マネージャー • 会議中毒管理職 • マイクロマネジメント上司 | 30%* |
* 管理職全体に対する割合
注意:これらの割合は推定値であり、業界や組織によって大きく異なります。 また、一人が複数のカテゴリーに該当する場合もあります。
ブルシット・ジョブの5つの分類と実例
1. 取り巻き(Flunkies)
誰かを偉く見せるためだけの仕事
上司の権威を演出するためだけに存在する役職。実質的な業務はほとんどなく、その存在自体が目的。
🇯🇵日本の実例
役員専属秘書(実務なし)
実際のスケジュール管理はシステム化されているのに、「役員には秘書が必要」という体面のためだけに配置
部長の荷物持ち
出張時に上司の鞄を持つだけの部下。タクシーのドアを開ける係
会議の頭数要員
発言することもなく、ただ「部署から○名出席」という数合わせのためだけに参加
🌍欧米の実例
誰も来ないロビーの受付
訪問者管理システムで十分なのに、高級感演出のためだけに配置される受付係
エレベーターボーイ
自動エレベーターで十分なのに、VIPビルの威信のために雇われる
不要な個人秘書
メール処理も予定管理も本人ができるのに、ステータスシンボルとして
心理的影響
自分の存在価値を感じられず、深い無力感に陥る。「飾り物」扱いされることで自尊心が傷つく。
2. 脅し屋(Goons)
他者を攻撃・威嚇するための仕事
競合他社への攻撃や、顧客への強引な営業など、本質的に敵対的で破壊的な活動に従事する職種。
🇯🇵日本の実例
過剰な営業部隊
既に飽和状態の市場で、競合から顧客を奪うためだけの攻撃的営業
社内政治の調整役
部門間の縄張り争いや予算獲得競争のためだけに動く中間管理職
クレーム対応専門部隊
製品の根本的改善ではなく、クレーマーを黙らせることだけが仕事
🌍欧米の実例
企業弁護士の軍拡競争
相手企業も弁護士を雇うから、こちらも雇う。結果、誰も得しない法廷闘争
ロビイスト
政治家に圧力をかけ、競合他社に不利な規制を作らせる仕事
テレマーケティング
望まない人に執拗に電話をかけ続ける、社会的価値ゼロの営業
心理的影響
他者に害を与えることが仕事であるため、罪悪感と自己嫌悪に苛まれる。
3. 尻ぬぐい(Duct Tapers)
組織の欠陥を一時的に修正する仕事
根本的な問題解決ではなく、その場しのぎの対処を繰り返す。システムの欠陥を人力でカバーし続ける職種。
🇯🇵日本の実例
レガシーシステムの手動データ移行
システム統合すれば解決するのに、毎日手動でデータをコピペする作業
エクセル職人
専用システムを導入すれば済むのに、複雑なマクロで無理やり処理
部署間の伝書鳩
連携システムがないため、メールを転送するだけの調整役
🌍欧米の実例
バグ修正専門エンジニア
コードを書き直せば済むのに、永遠にパッチを当て続ける
顧客なだめ係
サービスの根本的改善ではなく、怒った顧客をなだめるだけの仕事
マニュアル承認係
自動化できる承認プロセスを、人力でチェックし続ける
心理的影響
同じ問題に何度も対処することで、徒労感と無意味感が蓄積。スキルアップの機会も失われる。
4. 書類穴埋め人(Box Tickers)
組織が活動している「ふり」をするための仕事
実際の価値創造ではなく、書類作成や報告書の作成など、形式的な要件を満たすためだけの活動。
🇯🇵日本の実例
パワポ職人
誰も読まない社内プレゼン資料を、見た目だけ完璧に仕上げる
無意味な日報作成
「今日も問題ありませんでした」を毎日違う表現で書く仕事
ハンコリレー
内容を確認せず、ただハンコを押すためだけに書類を回覧
🌍欧米の実例
コンプライアンス報告書
誰も読まない膨大な報告書を、規制要件のためだけに作成
社内ニュースレター編集
読者がいないのに発行し続ける社内報の作成
KPI測定レポート
意味のない指標を追跡し、グラフ化するだけの仕事
心理的影響
自分の仕事が誰の役にも立っていないという確信が、深い虚無感を生む。
5. タスクマスター(Taskmasters)
無意味な仕事を作り出し、割り振る仕事
他者に仕事を割り当てることが主な仕事。多くの場合、その仕事自体が不要。二つのタイプが存在。
タイプ分類
🇯🇵日本の実例
調整だけの課長
実務はすべて部下が行い、会議の日程調整だけする管理職
プロジェクト乱立マネージャー
予算消化のために、不要なプロジェクトを次々立ち上げる
報告集約係
部下の報告を上司に転送するだけの中間管理職
🌍欧米の実例
帝国建設型マネージャー
自分の権力を誇示するために、不要な部下を大量に雇う
ミーティング中毒管理職
自分の存在意義を示すために、無意味な会議を乱発
マイクロマネジメント上司
部下の自律的な仕事を妨げ、細かい指示を出し続ける
心理的影響
無意味な仕事を作り出している自覚があるため、罪悪感を抱える。部下からの信頼も失う。
よくあるブルシット・ジョブの具体例一覧
取り巻き(Flunkies)
- •役員エレベーター係
- •会議室予約専門職
- •上司のスケジュール印刷係
- •名刺交換要員
- •会議の議事録読み上げ係
脅し屋(Goons)
- •競合他社監視専門職
- •社内政治コンサルタント
- •ネガティブキャンペーン担当
- •無意味な特許申請係
- •縄張り争い調整役
尻ぬぐい(Duct Tapers)
- •Excel手動コピペ職人
- •PDF→印刷→スキャン係
- •メール転送専門職
- •ダブルチェック専門員
- •システムエラー回避係
書類穴埋め人(Box Tickers)
- •出退勤記録管理者
- •無意味なKPI報告書作成
- •ハンコ押し専門職
- •形だけの監査対応係
- •誰も見ない議事録作成者
タスクマスター(Taskmasters)
- •会議の会議を開く人
- •進捗確認だけの管理職
- •報告集約だけの課長
- •CC追加専門マネージャー
- •承認ハンコ待ち管理者
これらは一例です。あなたの職場にも似たような仕事はありませんか?
なぜブルシット・ジョブは増え続けるのか?
1. 経営封建主義
管理職の権威は部下の数で測られるため、不要な役職が創出され続ける。
2. メンバーシップ型雇用(日本)
終身雇用制度の下、仕事がなくなっても解雇できないため、無意味な仕事を創り出す。
3. ゼロサム競争(欧米)
競合他社との軍拡競争により、社会的価値を生まない敵対的な仕事が増加。
4. プロセスの儀式化
結果よりもプロセスが重視され、形式的な業務が自己目的化する。
皮肉な真実:社会に本当に必要な仕事(看護師、清掃員、教師)ほど低賃金で、 無意味な仕事ほど高給という逆転現象が起きています。