無能な管理職を量産する『ディルバートの法則』

インテリ皮肉度
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あるある!こんなシチュエーション

「なんであの人が管理職に?」現場で全く使えなかった人が、なぜか昇進して管理職になる不思議。そして案の定、マネジメントもできない。この会社の人事、どうなってるんですか?

実践!こう使え!

「あの人、何で管理職に?」という話になったら「ディルバートの法則かな」と小さくつぶやく。分かる人には分かる、組織の皮肉。

詳しく解説!雑学のコーナー

ディルバートの法則は、1995年にスコット・アダムスが提唱した組織論の皮肉な法則です。「企業は意図的に、最も無能な従業員を管理職に昇進させる。そうすることで、実際の仕事(実害を与えうる仕事)から遠ざけることができる」という、ピーターの法則をさらに皮肉った内容となっています。 アダムスは元々パシフィック・ベル社のエンジニアで、9年間の会社員経験を基に漫画「ディルバート」を描き始めました。彼の観察によると、技術的に無能な社員が管理職になることで、少なくとも製品開発や顧客対応といった「実害のある」業務から外れるため、組織全体への被害が最小化されるという逆説的な合理性があるというのです。 実際の調査データもこの法則を部分的に支持しています。ハーバード・ビジネス・レビューの研究では、優秀な個人貢献者の40%が、管理職になると期待されたパフォーマンスを発揮できないことが判明しました。また、ギャラップ社の調査では、管理職の82%が「マネジメントの才能が不足している」と評価されています。 この現象の背景には「ハロー効果」があります。技術的に優秀だったり、上司に気に入られたりすると、マネジメント能力も優秀だと誤解されるのです。また、多くの企業で管理職昇進が唯一のキャリアパスとなっているため、優秀な技術者も不本意ながら管理職を目指さざるを得ません。結果として、優秀な技術者を失い、無能な管理職を得るという二重の損失が発生します。 日本企業では特にこの傾向が顕著です。年功序列の文化により、勤続年数だけで管理職に昇進するケースが多く、「名ばかり管理職」問題として社会問題化しています。ある調査では、日本の中間管理職の68%が「マネジメント研修を受けたことがない」と回答しており、準備不足のまま管理職になっている実態が明らかになっています。 興味深いことに、一部の先進企業はこの問題に対処し始めています。グーグルでは「個人貢献者トラック」を設け、管理職にならなくても昇進・昇給できる制度を導入。技術者が技術者のままキャリアを積めるようになりました。また、「プロジェクト・オキシジェン」により、優れたマネージャーの8つの行動特性を特定し、これを基準に管理職を選抜・育成しています。これらの取り組みにより、ディルバートの法則を打破しようとしているのです。

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