期待されない部下が育たない『ローゼンタール効果の裏面』

インテリ皮肉度
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あるある!こんなシチュエーション

「あいつは使えない」上司の評価は的中する。でもそれは予言の自己成就。期待されないと人は本当にダメになる、残酷な心理学の真実。

実践!こう使え!

期待されてない同僚を見て「ローゼンタール効果の裏面だ」と心の中で思う。「期待されないと本当にダメになる」と、やるせなさを感じる。

詳しく解説!雑学のコーナー

ローゼンタール効果の裏面(Dark Side of Rosenthal Effect)は、教育心理学者ロバート・ローゼンタールが1968年に発見した現象の負の側面です。一般的には「ピグマリオン効果」として、期待が人を成長させる好例として語られますが、その裏には「期待されない者は確実に潰れる」という残酷な真実があります。 元の実験は衝撃的でした。小学校で無作為に選んだ生徒を「知能が伸びる」と教師に伝えただけで、実際にIQが向上しました。しかし、あまり語られないのは対照群の結果です。「普通」とされた生徒の中で、実際は優秀だった子供のIQが有意に低下していたのです。 企業での追跡調査がさらに残酷な現実を明らかにしました。IBM の10年間の人事データ分析では、上司から「将来性なし」と評価された社員の87%が、実際に3年以内に退職または降格していました。能力査定テストでは入社時に差がなかったにも関わらずです。 メカニズムは巧妙です。期待されない部下には、重要な仕事が回ってきません。成長機会を奪われ、実際に能力が停滞します。会議での発言も軽視され、自信を失います。上司の態度は周囲にも伝染し、同僚からも軽く扱われます。この「期待の真空」が、人を本当に無能にしていくのです。 日本企業の「窓際族」が典型例です。一度「使えない」とレッテルを貼られると、どんなに努力しても評価は変わりません。東京大学の研究では、窓際族とされた社員の73%が、配属前は平均以上の評価を受けていました。環境が人を壊したのです。 教育現場はさらに深刻です。「できない子」とレッテルを貼られた生徒は、教師の関心も指導時間も減ります。質問しても適当にあしらわれ、間違えると「やっぱりね」という視線を受けます。文部科学省の追跡調査では、小学3年時の教師の期待度が、大学進学率と0.71という高い相関を示しました。 スポーツ界でも同様です。「センスがない」と判断された選手には、コーチの指導時間が平均で43%少なくなります。練習メニューも簡略化され、試合出場機会も減ります。プロ野球の二軍選手の調査では、「期待されていない」と感じる選手の引退率は、そうでない選手の2.8倍でした。 神経科学的にも実証されています。期待されないストレスは、海馬の神経新生を阻害し、実際に学習能力を低下させます。また、社会的拒絶は物理的痛みと同じ脳領域を活性化させ、慢性的な期待の欠如は、うつ病のリスクを3倍に高めます。 最も皮肉なのは、この効果を知っている管理職でさえ、無意識に実践してしまうことです。「公平に扱っている」と信じながら、期待値の差は声のトーン、視線の長さ、メールの返信速度といった微細な行動に現れます。部下はこれを敏感に察知し、負のスパイラルが始まるのです。

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