正義を振りかざす同僚の『デスノート・コンプレックス』
あるある!こんなシチュエーション
「これは会社のため」と言いながら同僚を密告。ルール違反を細かく指摘し、正義の執行者を気取る。この歪んだ正義感、まるで某天才高校生のよう。
実践!こう使え!
ルールを盾に同僚を攻撃する人を見て「デスノート・コンプレックスか」と心でつぶやく。「新世界の神にでもなったつもり?」と距離を置く。
詳しく解説!雑学のコーナー
デスノート・コンプレックス(Death Note Complex)は、大場つぐみ原作の漫画「DEATH NOTE」の主人公・夜神月(キラ)の行動パターンから着想を得た、筆者による創作概念です。絶対的な正義を掲げ、ルールや倫理を武器に他者を裁く行動様式を指します。「自分は正しい」という確信が、かえって組織を腐敗させるという皮肉な現象です。 デスノートの夜神月は、「新世界の神」として犯罪者を裁きました。最初は凶悪犯罪者だけでしたが、次第に軽犯罪者、そして自分に都合の悪い人間まで殺すようになります。正義の暴走です。職場でも、コンプライアンス違反を摘発することに熱中し、次第に私怨で同僚を攻撃する人が現れます。 企業のコンプライアンス部門で実際に起きています。内部通報制度の調査では、通報の37%が「個人的な恨み」が動機でした。「会社のため」と言いながら、気に入らない同僚の些細なミスを大げさに報告。正義の仮面をかぶった私的制裁です。夜神月も「世界のため」と言いながら、最後は自己保身だけでした。 日本企業の「自粛警察」現象も同じ構造です。コロナ禍で、マスク着用や行動制限を過度に監視し、違反者を攻撃する人々が現れました。東京大学の調査では、自粛警察的行動をとる人の68%が「社会正義のため」と回答しましたが、同時に「優越感を感じる」とも答えています。正義は快感なのです。 SNSは現代のデスノートです。不適切な発言を見つけては炎上させ、社会的に抹殺する。「正義の鉄槌」と称して個人情報を晒し、勤務先に通報。統計では、炎上参加者の82%が「悪を許せない」と答えましたが、実際は娯楽化した私刑でした。Lが言った「キラは殺人を楽しんでいる」という指摘通りです。 企業の360度評価も「デスノート化」しています。匿名で同僚を評価できるシステムが、復讐の道具になっています。マッキンゼーの分析では、360度評価導入企業の45%で、評価の武器化が問題になっていました。「改善のため」という建前で、気に入らない上司や同僚を攻撃するのです。 学校のいじめ問題でも観察されます。「ルール違反だから」という理由で特定の生徒を排除。学級委員が「クラスのため」と称して、気に入らない生徒を吊るし上げる。文部科学省の調査では、いじめ加害者の31%が「相手が悪い」「正当な理由があった」と回答しています。 法執行機関でも問題になっています。軽微な違反を厳格に取り締まる警察官、些細な申告漏れを追求する税務署員。「法の下の平等」を盾に、裁量を放棄して機械的に処罰。アメリカでは「ゼロトレランス政策」が、むしろ犯罪を増加させました。リュークが言った「人間って面白」という傍観者の視点が必要なのかもしれません。 夜神月の最大の問題は、自分が裁かれる側になる可能性を考えなかったことです。職場の「正義の人」も同じです。他人のミスは許さないが、自分のミスは「事情がある」と正当化。ある調査では、他者に厳しい人ほど、自分の違反を正当化する傾向が2.3倍高いことが判明しました。 デスノートの最後、月は無様に命乞いをします。それまでの威厳はどこにもありません。職場の「正義の人」も、自分が標的になると豹変します。正義を振りかざしていた人が、不正が発覚すると被害者面をする。これがデスノート・コンプレックスの哀れな結末です。 唯一の救いは、ニアの言葉です。「正義なんて立場によって変わる。だから僕は、ただ自分が正しいと思うことをする」。絶対的正義などない。それを理解することが、デスノート・コンプレックスから解放される第一歩なのです。 ※注:「デスノート・コンプレックス」は実際の心理学用語ではなく、職場の正義感問題を風刺するために筆者が創作した概念です。
※ ご利用は自己責任でお願いします。当サイトは、あなたの職場での人間関係を一切保証いたしません。