部下を過小評価する上司が知らない『インポスター症候群』

インテリ皮肉度
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あるある!こんなシチュエーション

「君にはまだ早い」「もっと経験を積んでから」優秀な部下の挑戦を阻む上司。でも実は、その部下、自分でも気づいていない実力があるかもしれませんよ。

実践!こう使え!

謙遜する部下に「インポスター症候群かもしれませんね。優秀な人ほどなりやすいらしいですよ」とさりげなく励まし。上司も聞いているかも。

詳しく解説!雑学のコーナー

インポスター症候群(Impostor Syndrome)は、1978年に心理学者ポーリン・クランス(Pauline Clance)とスザンヌ・アイムス(Suzanne Imes)が提唱した概念です。自分の成功を実力ではなく運や偶然と考え、「詐欺師(impostor)」のように感じる心理状態を指します。 最初の研究は、成功した女性150人を対象に行われました。博士号取得者、医師、弁護士など、客観的に見て優秀な女性たちの70%が「自分は周囲が思うほど優秀ではない」「いつか無能がバレる」と感じていました。その後の研究で、男性にも同様の傾向があることが判明しています。 驚くべきことに、成功者ほどこの症候群に苦しみます。アインシュタインは晩年、「生涯の仕事に対して過大な評価を受けている」と語りました。作家のマヤ・アンジェロウは11冊の本を書いた後も「今度こそ、私が書けないことがバレる」と恐れていました。FacebookのCOOシェリル・サンドバーグも著書で告白しています。 Google社内の調査では、社員の58%がインポスター症候群を経験していました。特に昇進直後に顕著で、新任マネージャーの70%が「自分にはこの役職は務まらない」と感じていました。皮肉なことに、パフォーマンス評価が高い社員ほど、この傾向が強かったのです。 日本企業での調査も興味深い結果を示しています。リクルートワークス研究所の2023年調査では、日本の管理職の62%がインポスター症候群の症状を示しました。特に女性管理職では78%に達し、「運が良かっただけ」と答える割合が男性の2.3倍でした。 神経科学的研究により、脳のメカニズムも解明されつつあります。fMRI研究では、インポスター症候群の人は、成功を処理する際に恐怖中枢である扁桃体が過剰に活性化することが分かりました。つまり、成功が文字通り「恐怖」として処理されているのです。 組織への影響も深刻です。インポスター症候群の人は、昇進を断る確率が34%高く、新しいプロジェクトへの参加を避ける傾向があります。優秀な人材が自己制限することで、組織全体のイノベーションが阻害されます。マッキンゼーの推計では、これによる経済損失は年間数千億ドルに上ります。 対策として「インポスター症候群サークル」が効果的です。GoogleやMicrosoftでは、同じ悩みを持つ社員が集まり、経験を共有します。「実は私も...」という告白の連鎖が、孤独感を和らげます。また、メンタリング制度も有効で、信頼できる先輩からの客観的フィードバックが自己認識を修正します。

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