自分の意見しか聞かない上司と『確証バイアス』
あるある!こんなシチュエーション
「ほら、やっぱり俺の言った通りだった」反対意見は無視して、自分に都合の良い情報だけを集める上司。成功は自分の手柄、失敗は他人のせい。都合の良い世界に生きてますね。
実践!こう使え!
自画自賛が始まったら「確証バイアスって怖いですよね」と独り言。「都合の良い情報ばかり見ちゃうやつ」と付け加えて、聞こえたら聞こえたで。
詳しく解説!雑学のコーナー
確証バイアス(Confirmation Bias)は、自分の信念や仮説を支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視する認知的傾向です。1960年代に心理学者ピーター・ウェイソン(Peter Wason)が実験的に証明しました。 ウェイソンの「2-4-6課題」は、この現象を見事に示しています。被験者に「2-4-6」という数列が特定のルールに従っていると告げ、そのルールを当てさせる実験です。多くの人は「偶数が2ずつ増える」と仮説を立て、「8-10-12」などで確認しようとしました。しかし実際のルールは「増加する数字」という単純なものでした。人々は自分の仮説を確認する例ばかりを試し、反証を試みなかったのです。 職場でも深刻な問題を引き起こします。スタンフォード大学の研究では、管理職の87%が「自分は客観的に判断している」と回答しましたが、実際の意思決定を分析すると、73%が確証バイアスの影響を受けていました。特に採用面接では顕著で、最初の30秒の印象を裏付ける情報ばかりを重視する傾向があります。 投資の世界でも致命的です。ドットコムバブル時、多くの投資家が「インターネット企業は必ず成功する」という信念に固執し、警告を無視しました。ウォーレン・バフェットが「理解できないものには投資しない」と警告しても、「時代遅れの老人」として無視されました。結果は歴史が証明しています。 政治心理学の研究では、確証バイアスがエコーチェンバー現象を生むことが分かっています。SNSのアルゴリズムがこれを増幅し、人々は自分と同じ意見ばかりを見るようになります。MITの研究では、偽ニュースが真実より6倍速く拡散する理由の一つが、確証バイアスであることが判明しています。 医療分野でも問題です。経験豊富な医師ほど、最初の診断に固執する傾向があります。ハーバード医学部の調査では、誤診の40%が確証バイアスに起因していました。「馬の蹄の音を聞いたら馬を考えろ、シマウマではない」という格言が、時に珍しい病気の見逃しにつながるのです。 解決策として「悪魔の代弁者」制度があります。インテルのアンディ・グローブは、重要な決定の前に必ず反対意見を述べる役割を設けました。また、レッドチーム分析という手法では、あえて自分たちの計画を攻撃するチームを作ります。CIAやペンタゴンでも採用されている手法です。
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