自信満々の無能上司に贈る『ダニング=クルーガー効果』
あるある!こんなシチュエーション
「俺、マーケティングのこと全部わかってるから」と言いながら、KPIとKFCを間違える上司。自信だけは誰にも負けない。
実践!こう使え!
「自信って大事ですよね」と相槌を打ちつつ、同僚に「ダニング=クルーガー効果の論文、面白かったよ」と別の話題。聞き耳を立てるかは相手次第。
詳しく解説!雑学のコーナー
ダニング=クルーガー効果は、1999年にコーネル大学の心理学者デイビッド・ダニング(David Dunning)とジャスティン・クルーガー(Justin Kruger)によって発表された認知バイアスです。 この研究のきっかけとなったのは、1995年にピッツバーグで起きた銀行強盗事件でした。犯人のマッカーサー・ウィーラーは、レモン汁を顔に塗れば監視カメラに映らないと本気で信じて犯行に及び、あっさり逮捕されました。この事件に興味を持った両研究者は、「なぜ無能な人ほど自信満々なのか」という疑問を科学的に検証することにしたのです。 実験では、被験者にユーモア、論理的推論、文法の3分野でテストを行い、その後自己評価をしてもらいました。結果は衝撃的で、成績下位25%の人々は、自分の能力を平均以上(上位40%程度)と評価していたのです。一方、成績上位の人々は自分の能力をやや過小評価する傾向がありました。 この現象には「二重の呪い」があります。無能な人は、(1)そもそも正しい判断ができない、(2)自分が無能であることを認識する能力も欠けている、という二重の問題を抱えているのです。これは「メタ認知能力の欠如」と呼ばれ、自分の思考プロセスを客観的に評価する能力が不足していることを意味します。 興味深いことに、この効果は文化によって差があることも分かっています。東アジア文化圏では謙遜の文化があるため、この効果が弱まる傾向があります。
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